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【感想】ムンク展(東京都美術館)|死と生を描いた画家の軌跡

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こんにちは。ニャンさん@nyankodearuです。

 

 行ってまいりました。ずーーーっと前から楽しみにしていた美術の展覧会。上野にある東京都美術館で開催中(2018年10月27日~2019年1月20日)の、 

 

【ムンク展―共鳴する魂の叫び】 です。

 

私、エドヴァルド・ムンクに対してはとりわけ深い思い入れがあるのですよ。というのも、私が中学生のときに初めて購入した美術書がムンク (新潮美術文庫 38)だったんですね。【思春期】や【病める子】などの作品に感銘を受け、繰り返し読んだこの本は今でも大切に持っています。

 

 

さて、このムンク展ですが、たいへん素晴らしい展覧会でした。少し混雑していましたが、何度でも行きたいくらい質の高いものです。

 

今回はこの「ムンク展」について、まだ鑑賞されていない方に向けて見所を紹介したいと思います。

  • 印象に残った絵
  • グッズの紹介
  • 感想(総括)

この順番で話をすすめていきます。

 

観賞を検討中の方にご参考いただければ幸いです。

 

ムンク展で印象に残った絵

私がムンク展で印象に残った絵、ぜひ皆さんに紹介したいと思う作品を中心に取り上げていきます。全7作品です。

地獄にて、自画像

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1895年 カンヴァス 油彩 82×60cm ムンク美術館蔵

不穏な雰囲気を剥き出しにした作品。裸のムンクが、血、もしくは炎のようなものに囲まれて仁王立ちしています。そして背後には高く昇る黒き影、これはムンクの心の闇を映し出したものでしょうか。こちらを見つめるムンクの表情は、まさに狂気と呼んでも過言ではない印象を受けます。

 

病める子

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1896年 石板 42.1×56.5cm ムンク美術館蔵

この「病める子」という絵は複数作成されているのですが、この作品は石板に描かれたものですね。ムンクは5歳のときに母を、14歳のときに姉を亡くしており(いずれも死因は結核)、この少女は亡くなった姉を投影させた人物と考えられています。白い肌や痩せた頬、疲れ切った目元、薄くなった頭髪など、死を迎える少女の様子と心を繊細に描写しています。このように、幼少期に身近な愛するひとを失った喪失感が、後のムンクの作品に強い影響を与えており、またムンクの絵につきまとうテーマである「死」に対する価値観が形成されていったのでしょう。

 

マドンナ

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1895/1902年 石板 71×59cm

とても有名なこちらの作品。女性の身体のシンボルを強調した絵ですね。「マドンナ」というタイトルですが、他にも「愛する女」や「受胎」などとも呼ばれています。妖艶な肉体と、恍惚とした表情。この作品は様々な解釈がされていますが、愛と受胎、そして死から生への連鎖を描いたものという意見があります。

 

マラーの死

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1907年 カンヴァス 油彩 151×148cm ムンク美術館蔵

フランス革命の英雄マラと、彼を刺殺したコルデ・ダルモンを描いたとされています。しかし、この絵にはムンク自身の原体験が投影されているのです。当時ムンクはトゥーラ・ラールセンという女性と愛人関係にありました。二人は深く愛し合っていましたが、ムンクの「芸術家は孤独でいなければならない」という信念のために、結婚が実現することはありませんでした。そして1902年に拳銃の暴発事件が起き、ムンクは左手の中指を失ってしまいます。これを機にムンクの精神状態は急激に悪化し、長い苦悩の日々が続くのです。この絵は当時の二人の関係、男女の愛憎を描いた狂気の作品なのです。

 

叫び

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1910年? テンペラ・油彩 厚紙 83.5×66cm ムンク美術館蔵

とても有名な絵で、今回の展覧会の目玉作品ですね。ムンクが憂鬱な気分で、血のような赤い空の下、フィヨルドの道を歩いていた時、恐ろしい叫び声【幻聴】を聞いたといいます。この絵は叫び声に恐怖し、必死に耳を覆い隠そうとしている様子を描いたもの。一般の方には誤解されがちですが、この人物が叫んでいるのではないのです(諸説あり)。

 

太陽

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1910-1913年 カンヴァス 油彩 163×205.5cm ムンク美術館蔵

今回の展覧会の中で、私が最も印象に残った絵です。トゥーラ・ラールセンとの暴発事件の後、ムンクは長きにわたり苦悩しました。この絵はムンクが精神的な問題を乗り越え、再起に臨むときに描いた作品で、海から昇る太陽を表現し、空・海・大地とあらゆる方向へ広がる力強い光が印象的です。この作品は壁画として制作され、163×205.5cmという壮大なスケールで描かれており、生命感あふれるその迫力は圧巻でした。

 

自画像、時計とベッドの間

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1940年 カンヴァス 油彩 150×120cm ムンク美術館蔵

大きな柱時計の横に、年老いた男性が立っています。体は痩せ細り、円背と側彎姿勢を呈しており、あまり覇気は感じられませんが、この人物は晩年のムンクです。幼き頃より人の死を身近に感じてきたムンク。自身に刻一刻と近づいている「死」という運命を受け入れ、静かにそのときを待っている印象を受けました。

 

ムンク展のグッズ

ここではムンク展で販売されているグッズを紹介します。私が購入したものと、目玉商品として取り扱われているものだけです。

 

「叫び」空気人形

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私はこれを購入しました。「叫び」に登場する人物の空気人形。
………え、これでなにをするんだって?
空気を入れて人形にするんですよ!(そのまんまや)

 

 

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取り出してみるとこんな感じです。
身体がぐちゃぐちゃになっててお化けにしか見えませんね。

 

 

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空気を入れると、ホラ、この通り!
ちなみにこれはオスロ美術館公認の商品で、なかなかクオリティが高いですよ。
実 用 性 は 皆 無 ですけどね。

 

ポケモングッズ

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画像参照:https://munch2018.jp/goods/#pokemon

 こちらがおそらく目玉商品。ポケモンのキャラクター達が叫びのポーズをしており、このイラストが掲載されたiPhoneケースやクリアファイルなどが販売されています。しかし、個人的にはこのイラストはNGかなあ…。

 

「叫び」の作品紹介の項でも記載しましたが、あの人物は叫び声を聞いて「恐怖で耳を覆い隠す」ようにしているのです。

 

あの人物そのものが叫び声をあげたか否かは意見が分かれますが、いずれにせよこのイラストの表現は不適切なように感じられます。

 

ムンク展の感想(総括)

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最後に感想(総括)を述べます。個人的には、ここ数年で見た美術展覧会の中では最も感動しました。

 

ムンクの絵は「心の闇」を描いた作品が多く、深い悲しみを繰り返し体験してきた彼自身の心を投影しているといってもよいでしょう。

 

ムンクの絵からは「幸福」という感情はあまり感じられず、悲しみ、喪失、憎しみ、情念といったものが滲み出ています。

 

ムンクの作品を通じて感じる一貫したテーマは「生と死」・「出会いと別れ」で、幼くして愛する母・姉と死別し、出会った女性を愛し、別れ、そして自ら静かな死を迎える。

 

「幸せ」や「喜び」などといった世俗的な感情からは離れた、もう少し達観した、「人の命と命の連鎖」といったものを表現しているような印象も受け、彼の生命に対する崇高な想いを感じます。

 

このムンク展、2019年1月20日まで開催されています。鑑賞を検討中の方は、ぜひ東京都美術館に足を運ばれてみてはいかがでしょうか。

 

それでは今回はここまで。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

~参考にした書籍~